口腔内以外にも及ぶ病気
虫歯は専門家である歯科医に治療してもらわない限り、放置しておいても完治することはありません。
進行していくと、歯の最奥部にある神経(歯髄)まで達し体にさまざまな影響を起こします。
上の歯の虫歯を放置すると、鼻の粘膜に虫歯の原因となっている細菌が入り込み、炎症を起こす「副鼻腔炎」を引き起こすことがあります。
「蓄膿症」ともいわれ、鼻の周りにある空間に炎症がおこり、ドロドロした鼻汁がたまったり、腫れや発熱につながるのです。
また、神経や血管に細菌が入り込むと、炎症を起こし「歯髄炎」や、顎の骨を腐敗させる「骨髄炎」を起こすことがあります。
「歯髄炎」は、進行すると骨の軟らかい部分が腫れ外側の硬い部分を圧迫するので、血管が圧迫されます。
そうすると血流が途絶え、骨が壊死してしまうのです。
歯原性菌血症が引き起こす病気
虫歯の原因となるミュータンス菌等の悪玉細菌が血流に乗って全身に回ると、歯原性菌血症を引き起こすことがあります。
健康な身体であれば血液中の白血球が免疫機能を発揮し、細菌を退治してくれるでしょう。
一方で、糖尿病や血液疾患といった基礎疾患をもっていたり、疲労がたまっている状態だったりすると、発症してしまうことがあります。
歯原性菌血症は、目立った症状がなくじわじわと炎症が進行し、血管自体を劣化させてしまう厄介な病気です。
また、炎症をおこした所には血栓ができることもあり、この血栓が心臓に近い血管にできると、心筋梗塞、脳の血管であれば脳梗塞といった、命にかかわる病気を引き起こしてしまいます。
他にも動脈硬化やリュウマチといった、慢性病の原因になる可能性があるでしょう。